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~Do Not Track!~

<あなたの個人情報やコンタクト情報は大丈夫?>

昔、友人達との連絡には欠かせなかった住所録は、今やスマート・フォンに保存され、指先で電話を掛けたりテキストやメールを送信する便利な時代になった。しかし、このような利便性に慣れている方々は、自分のプライベートのコンタクト情報が知らない間に盗まれているのをご存知だろうか?2012年2月15日付けNYタイムズ紙によると、iPhoneを含むスマート・フォンやiPadなどのアプリ業者であるTwitter、Foursquare、Instagram、Yelp、Gowallaなどの業者は利用者の知らない間にスマート・フォンに保存されているアドレス帳に常にアクセスしており、自社のデータベースにアップロードしている会社もあるようである。アップル社はこのような行動を自社の方針として禁止しているものの、iTunes Storeで利用可能なアプリのうち、11%のアプリは利用者の個人情報にアクセスするようにできている矛盾を米議会が指摘し説明を求められている旨を同紙は報じている。

<オンライン上の追跡>

更に、アドレス帳だけでなく、オンライン利用者の選択や行動に関する膨大なデータが、利用者の知らないうちに常に追跡、収集、転売され、個別化されたマーケティングに利用されている事実を重く見て、今年2月にオバマ大統領も以下のような声明を発表するに至った。「アメリカ消費者達は、個人情報がオンライン上で保護されるための明確な規則の確立をもはや一刻たりとも待つことはできない。」米国内のデジタル広告収入は、年々増加しており、2011年の第3四半期の売り上げは78億米ドルにも達し、2010の同時期に比べ22%の急成長を見せている。オンライン業者がしのぎを削ってオンライン利用者のデータに群がっている理由である。

<Do Not Trackとは?>

2009年、Christopher Soghoianら数人の研究者が提案し、既にMozillaのFirefox やMicrosoftのExplorer、AppleのSafariなどで採用されているDo Not Track(「DNT」)ボタンは、利用者の自由意志の選択により、自分が訪問するサイト以外のサイトが利用者のデータを追跡することを拒否できるようにするメカニズムである。このDNTメカニズムは、ホワイト・ハウス、米商務省、FTC(Federal Trade Commission:米連邦取引委員会)、消費者グループなどの指示を受けており、オンライン広告業者を代表するDAA(Digital Advertising Alliance:デジタル広告連合)は、個人情報の定義やその適用範囲などについての不明確さを指摘しながらも、プレッシャーを受けながらついにDNTを遵守する意思があることを表明している。

<CA州での動き>

一方、今年の2月、カリフォルニア州の司法長官であるKamala D. Harris氏は、「CA州は、Amazon、Apple、Google、Hewlett-Packard、Microsoft、Research in Motion社、他との交渉の結果、今後スマート・フォン利用者がアプリをダウンロードする際、CA州オンライン・プライバシー保護法(California Online Privacy Protection Act)を遵守して、利用者の個人情報を保護する努力をすると各社と合意に至った。」と発表した。これにより、利用者のプライバシー情報に関する自社の方針を明確にアプリに掲示する義務を帯びることになる。

<今後の展開>

今後は、オンライン上の技術革新や商業発展を阻害することなく、消費者(利用者)のプライバシーを保護するためオンライン上の「消費者の権利章典」の確立が期待されている。

本記事の内容は、一般的事実を述べているだけであり、特定の状況に対する法的アドバイスではなく、それを意図したものでもない。個々の状況に対しての法的アドバイスは、直接当事務所にご連絡頂くか、専門の弁護士にご相談されることをお勧めする。

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