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~オンラインポーカーの今後~

アメリカに来たら一度はカジノを楽しんでみたい、と思う方は少なくないであろう。カジノに欠かせないゲームの1つがポーカーだ。往年の映画や小説には、ポーカーゲームの心理作戦を使った華麗な駆け引きが数多く登場する。しかし、ポーカーはギャンブルではない、と言われたらどう思われるだろうか。実はこれは、最近アメリカで出された判例なのだ。

<ポーカーはスポーツ?>

ニューヨーク州東部を管轄する地方裁判所は、2012年8月21日、ルーレットやスロットマシーンのように運に左右される「ギャンブル」と違い、ポーカーは「スキルの優劣が結果に影響する度合いが非常に高いため、スキルを使用するスポーツ」であるとして、自転車倉庫の奥で闇ポーカー場を運営していた被告がIGBA (Illegal Gambling Business Act、連邦違法ギャンブル法)の規定から除外されるとした。

この意外な判決に対して当の被告以上に狂喜乱舞したのは、実は巷に数あるオンラインカジノの経営者と愛用者達であった。なぜかといえば今やポーカーの主要舞台は、従来のカジノ建物内(いわゆる「ランドカジノ」)から、ポーカーフェースすら必要としないオンラインカジノに移行しているからなのである。

<オンラインポーカーの利点>

カジノの代名詞ともいえるポーカーだが、実はランドカジノにとってはあまり場所効率及び人件費効率のよくないアイテムである。まず、ポーカーテーブルは非常に大きい。一定のプレーヤー数が揃うまでゲームを開始できない。更に、テーブル1台につき必ず1人のディーラーを必要とする。優秀なディーラーはカジノ間の引き抜きも盛んで、確保費用が馬鹿にならない。スペース、時間、維持費用。これが、同じスペースに例えばスロットマシンを数台入れたほうがはるかに儲かると言われる所以だ。また州により規制が異なる為、ランドカジノ自体がどこででも営業できるわけではなく、立地条件自体が顧客を制限してしまう。オンラインポーカーでは、以上のジレンマがいとも簡単に解決できるのだ。

ユーザー側から見てもオンラインポーカーの利点は多々ある。移動が不要。24時間好きな時に、世界中のプレーヤーとプレーできる。ギャラリーも(通常の場合は)おらず、プレーのみに集中できる。プレーを始めるまでの待ち時間が最小限である。金銭面でも、ドリンク類の代金やチップを支払う必要はないし、殆どのサイトが採用している無料の「練習モード」や「サインアップボーナス」「リロードボーナス」といったオンライン独自の特典を享受できる。複数のテーブルで同時にプレーする上級者向けのテクも、オンラインならではであろう。これらの利点を反映してか、2012年時点でオンラインポーカーの愛用者は全世界で500万人とも1,000万人とも言われており、正確な数は不明なものの一大マーケットを形成していることは間違いない。

<2006年UIGEA>

いいことずくめのようなオンラインポーカーだが、オンラインカジノ自体が現時点で米国では幾つかの州を除きれっきとした違法であり、人気のポーカーサイトもその運営元は殆どがイギリスやイタリア等の海外である。連邦レベルで、2006年に発効した(Unlawful Internet Gambling Enforcement Act of 2006)「米国オンラインギャンブル禁止法」にがっちり規制されている為だ。このUIGEAは、マネーロンダリングを防ぐ目的で金融機関に対してオンラインギャンブルの資金決済を禁止する内容だが、実際にはオンラインギャンブルそのものの規制として機能している。UIGEAの元で、これまでに多くのポーカーサイトが閉鎖或いは「リアル・マネー」絡みのアメリカ市場撤退を余儀なくされてきた。

政府の中には勿論、オンラインカジノを合法化してちゃっかり税収をいただこうという動きもある。2012年6月にはデラウェア州がオンラインカジノの合法化に踏み切っており、ニュージャージー州もまだ最終決定はされていないものの合法化に限りなく近い地点にいる。今回、ポーカーがIGBA規定の対象外であるという判例が出たことで、オンラインポーカーの合法化を目指す企業にとっては更に力強い法的後ろ盾となった。

本記事の内容は、一般的事実を述べているだけであり、特定の状況に対する法的アドバイスではなく、それを意図したものでもない。個々の状況に対しての法的アドバイスは、直接当事務所にご連絡頂くか、専門の弁護士にご相談されることをお勧めする。

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