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~SOX法の適用範囲~

今年の3月4日、米国連邦最高裁判所は、投資家保護の目的で2002年に施行された「サーベンス・オクスリー法」(SOX法)の適用を大きく変える判決を下した。SOX法の内部告発者を保護する規定が、場合によっては非上場企業にも適用されるとしたのだ。

<SOX法の背景>

法案を提出した上院議員2人の名をとって「サーベンス・オクスリー法」と知られるこの法律は、正式には「上場企業会計改革及び投資家保護法」と呼ばれている。エンロン事件等、2000年代に入ってから続出した粉飾決済等の不正会計処理で企業が破綻した事件を受けて、SOX法は、企業犯罪の防止策として施行された。この法律は、上場企業の経営陣に対し、企業会計に関する適切な内部統制の確立と維持を要求し、それを監査法人が証明することを義務付けている。この2重のチェックが企業会計において徹底されることにより、経営の透明性を確保しようとしている。また、内部告発者に対する企業からの報復行為を禁じ、厳しい罰則規定を設けることにより、内部告発者の保護を図っている。2006年6月に制定された日本版SOX法はこの米国SOX法を手本としている。

<Lawson v. FMR LLC>

今回判決の出たLawson 対 FMR LLCで、原告らはミューチュアル・ファンドの大手の一つであるFMR (Fidelity Managements and Research) を相手取り、報復行為があったと訴えた。しかし、Fidelityは上場会社であるものの、実際には従業員のいない会社で、すべての業務を外部の会社やコントラクター(請負人)に委託するというファンドに良く見られる形態をとっていた。つまり、原告らは、上場企業にサービスを提供する、非上場の別会社の従業員であった。そのため、SOX法の内部告発者の保護規定の適用範囲の解釈について各方面から注目されていた。

判決において、最高裁は、内部告発者保護規定が原告らにも適用されるとした。その結果、非上場企業に対しても企業会計の厳格な管理が求められる可能性となった。専門家の言葉を借りると、非上場企業は「金のかかる労働訴訟の新たな頭痛のタネ」を抱えてしまった成り行きになる。

<予防と対策>

SOX法を専門としているJackson Lewis法律事務所の弁護士は非上場企業に対して、次の手順でリスクアセスメントを行う事を奨励している。

1)上場企業との業務関係を査定し、上場企業に直接、金融、管理、経営、または会計サービスを提供している場合、上場企業と継続的な契約関係がある場合、更には、偶発的にしか上場企業と取引関係を持たない場合でも、SOX法の内部告発者保護規定が適用されると考えておいた方がよい。

2)早いうちにコンプライアンスポリシー、手順、トレーニング、企業統治構造を見直し、常に最新の状態に維持する。

3)報復禁止措置のレビュー体制を確立し、内部告発者への報復に関する苦情を減らす。

経営者の皆様方には、是非内部統制の再レビューをされ、体勢を固めるよう強くお勧めする。

本記事の内容は、一般的事実を述べているだけであり、特定の状況に対する法的アドバイスではなく、それを意図したものでもない。個々の状況に対しての法的アドバイスは、直接当事務所にご連絡頂くか、専門の弁護士にご相談されることをお勧めする。

J weekly・ https://jweeklyusa.com/

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