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インデペンデント・コントラクターか?従業員か? ~カリフォルニア州最高裁の司法判断~

2018年4月30日、カリフォルニア州最高裁判所は、事業主が独立請負人としてのインデペンデント・コントラクターのサービスを受ける場合、以前にも増して厳しい基準が適用されるべきであるとの判決を下した。これにより、昨今急成長が見られるギグ・エコノミーと呼ばれる、UberやLyftなど、インターネットをプラットフォームとして仕事の受注を成立させる経済形態に大きな打撃を与えることが予想される。

本来、事業主がある個人を従業員として採用すると、労災保険の加入義務、雇用主負担のペイロール税(ソーシャルセキュリティーやメディケア税、州の失業保険税など)の支払い義務や源泉徴収・納税義務などが発生する。更に連邦法、州法、地方条例下の最低賃金や残業手当、昼食・休憩時間などの規程も厳守する必要がある。その反面、事業主がインデペンデント・コントラクターのサービスを受ける場合、これらの源泉徴収義務や雇用法遵守の義務から逃れることができる。ギグ・エコノミーの成長に伴い、インデペンデント・コントラクターの人口が増えているのはそのためとも言われている。しかし、インデペンデント・コントラクターとして誤区分された労働者は、雇用法下の従業員としての保護を受けられず、カリフォルニア州も毎年70億ドルもの源泉徴収税の取り逃がしの被害を受けているのが実情だ。その結果、各州において本来なら従業員として雇用するべきところをインデペンデント・コントラクターとして採用されたとして、事業主を訴えるケースが増えている。

今回の判決は、アマゾンなどの顧客に対し書類や小包配送サービスを提供する、Dynamex Operations West, Inc.が、配送ドライバーを違法にインデペンデント・コントラクターとして誤区分したとして、ドライバー達が会社を相手取って集団訴訟を提起したものである。カリフォルニア州最高裁長官のサカウエ判事は、「労働者達自らが、インデペンデント・コントラクターであると主張せず、雇用主によってそのように決められている場合、適用される雇用法規程違反のリスクが高くなる」とし、伝統的に独立したサービスを提供する、配管工や電気配線工などは、インデペンデント・コントラクターとして見なされるが、労働者が事業主の本業と同様のサービスを提供する場合は、通常、従業員と見なされると説明した。

例として、ある小売店舗の配管漏れを修繕するために雇われる配管工は、インデペンデント・コントラクターであるが、アパレル製造会社のために、会社から供給された素材とデザインに基づいて自宅で縫製を行う裁縫師は従業員であるとした。

結論として、サカウエ最高裁長官は、労働者が、(A)業務の遂行において事業主から管理や指示を受けず、(B)事業主の通常の本業以外の業務を提供し、(C)慣例上独立請負人として確立されている業種、職業、事業に従事している、と確定されない限り、従業員として見なされるとし、事業主が一つでもこれらの要件を証明できない場合は、従業員として見なされると司法判断を下した。

<考察>

今回の判決により、カリフォルニア州で事業を行う事業主は、専門家のアドバイスの下、適切な従業員の区分を行い、雇用法下のリスクを下げることをお勧めする。

参考文献:カリフォルニア州最高裁判所 判決文(Dynamex Operations West, Inc. v. The Superior Court of Los Angeles County)、2018年4月30日付ニューヨークタイムズ紙、同日付LAタイムズ紙

ここで扱う内容は、一般的事実であり、特定の状況に対する法的アドバイスではなくそれを意図したものでもない。

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