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女性取締役の選任を義務付ける州法~施行後のアップデート~

2018年、カリフォルニア州のジェリー・ブラウン前知事の署名により、女性取締役選任を義務付ける州法が立法化され、2019年1月から施行となった。これによりカリフォルニア州は米国で初めて、クオータ制(議会や会社役員などの女性の割合をあらかじめ一定数に定めて起用する制度)を導入した州となり注目を集めたが、今回はその施行後の現状を追ってみよう。

<概要>

2018年9月にカリフォルニア州議会は、米国市場で上場している州内の企業に女性取締役の選任を義務付ける州法826(以下「SB-826」)を可決した。この法律はカリフォルニア州会社法第301.3条と2115.5条として導入され、主たる事業所(principal executive office)がカリフォルニア州にあれば適用を受ける。同法によると、まず2019年末までに1名以上の女性取締役を置くことが適用企業に義務付けられ、その後2021年末までには、取締役総数が5名の企業では女性取締役2名以上の選任、取締役総数が6名以上の企業では女性取締役3名以上の選任が義務付けられる。(なお、ここでの「女性」とは、当人が認識している自身のジェンダーであり生物学的な性別ではない。)また、違反企業には、初回で10万ドル、2回目以降は30万ドルの罰金が科せられる。カリフォルニア州議会議事運営委員会は、カリフォルニア州内の上場企業約761社がこの新法の対象になると記述している。

<背景>

欧州では女性取締役の義務化が既に進んでいて、2003年にノルウェーが役員の40%を女性とすることを法律で定め、2011年にフランスも同じく40%の義務化を施行した。しかし、欧州に比べると米国と日本の大幅な出遅れは否めない。2017年のMorgan Stanley Capital International(以下「MSCI」)の調査によると女性取締役の比率は、ノルウェーの42.2%、フランスの40.8%に比べて、米国は21.7%、日本ではわずか5.3%だった。

しかし、2019年のMSCIの調査によると、米国と日本の女性取締役の比率が、米国では21.7%から26.1%、日本では5.3%から8.4%と確実に増加している。特に米国では、2019年に3人以上の女性取締役がいる企業が2018年の24%から49%に急増した。

<考察>

今年3月に発表されたカリフォルニア州務長官の「Women on Board」レポートによると、2020年に企業開示書(Corporate Disclosure Statement)を提出した653社のうち、282社が女性取締役のクォータ制の条件を満たしていたという。2019年7月の時点では173社だったので、2019年末までに1名以上の女性取締役を置くことを義務付けたこの州法の効果が得られたと言える。さらにマサチューセッツ州、ニュージャージー州、ワシントン州もこのクォータ制の導入を考えているので、将来カルフォルニア州以外でもこの州法が施行される可能性は高い。

日本に於いても、内閣府男女共同参画局が「2020年までに上場企業での女性取締役の割合が少なくとも30%になるよう期待」すると目標に掲げたが、その達成は叶わなかったようだ。しかし、資生堂社長兼CEOの魚谷雅彦氏がチェアを務める「サーティーパーセント クラブ ジャパン(30% Club Japan)」の調査によると、TOPIX 100企業の(監査役を除いた)女性役員割合が昨年7月末時点で10.5%(前年比+2.5ポイント)になり、増加傾向が加速していると発表した。魚谷氏は「女性役員比率の向上は、日本の多くの経営者が 『多様性は企業成長の鍵である』と考えている結果であり、時代は、女性役員任用の是非から、女性役員比率向上へと確実に移行していると考える。」とコメントし、日本でも大きな前進が期待できそうだ。

ここで扱う内容は、一般的事実であり、特定の状況に対する法的アドバイスではなくそれを意図したものでもない。

企業概況ニュース・U.S. JAPAN PUBLICATION N.Y. INC.・https://ujpdb.com/
J weekly・ https://jweeklyusa.com/

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