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企業・雇用主のための COVID-19 対応に関する法的留意点 (1)~加州及びベイエリア地域の屋内退避指令に遵守するための備えと対処~

世界各地で新型コロナウイルス(以下「COVID-19」)の感染が拡大しており、様々な情報が飛び交っているが、今回は企業及び雇用主が COVID-19 に対応するにあたり、事業 運営、雇用上の法的リスクを最小限に抑えるための情報を提供したい。

概要

最初に中国で発生したCOVID-19の感染拡大は、住民、 地域社会、事業運営、国家、及び世界経済といった広範囲に影響を及ぼしている。カリフォルニア州では、州、郡、市レベルの全政府機関において、これまでには無かった、住民及び事業の衛生、安全、及び福祉を保護する屋内退避指令(shelter in place、以下「CA指令」)及び指針(guidance)を全米でいち早く発行した。

CA指令は、カリフォルニア州内の事業や住人に広範囲にわたって著しい打撃を与えているだけではなく、他州の事業や住民にも多大な影響を及ぼしている。同指令発令後の数週間の間に、他の約 42 の州や地方自治体も「自宅待機 (stay at home)」指令や屋内退避指令を施行している。これらの指令は、COVID-19 の感染拡大のスピードを遅らせることで、生命を救い、医療保険システムの崩壊による公衆衛生危機の可能性を減らすことを目的とした抜本的な処置である。

屋内退避指令に遵守するための法的課題

CA指令及び地域の郡又は市からの屋内退避指令及び関連指針は、カリフォルニア州内での事業運営に、即座に直接的な影響を及ぼすことになる。CA指令及び自治体の屋内退避指令を遵守するために、弁護士と相談の上で以下について検討・判断することをお勧めする。

• 事業が、CA指令及び自治体の屋内退避指令における必須事業であるか否か。必須事業は、政府当局からのソーシャル・ディスタンスの要請及びCOVID-19ベストプラクティスの忠告に従って、通常通りの業務を継続することが認められ、かつ、奨励される。

• 事業が、CA指令及び自治体の屋内退避指令における、必要不可欠なサービスを実施しているか否か。必要不可欠なサービスを実施している事業は、政府当局からのソーシャル・ディスタンスの要請及びCOVID-19ベストプラクティスの忠告に従って、その必要不可欠なサービスの実施を継続することができる。

• 事業が、非必須事業であり、必要不可欠なサービスを提供しない場合に、従業員の在宅勤務によって業務遂行が可能か否か。屋内退避指令は、従業員が在宅勤務する場合には業務の遂行を制限しない。

• 従業員のテレコミュート、業務セキュリティ及び在庫の維持、給与支払及び従業員ベネフィットの処理、又はその他最低限の基本業務を遂行するために必要最低限の現場活動は何か。

• 停止されなければならない残りの現場業務は何か、また、現場業務の閉鎖をいかに計画、実施して、従業員、顧客、業者などへ通達するか。特に、CA指令の期限延長が続くなかでの現場業務の運営は困難である。(加州知事はCA指令解除日を特定していないが、ベイエリアの6郡は、2020年5月末日まで延期することを4月27日に発表した。)

• 5月8日に加州知事が、経済再開に向けて、段階的にCA指令を緩和することを発表し、現時点では 4 段階中の初期ステージ 2 にあると告げた。それに伴い、遵守すべき指針も発表されたが、事業主が具体的な措置・方針・規則を検討し、自社の具体的なプロトコールを作成する際には、所在郡のウエブサイトに掲載されている指針を参照する必要がある。

考察

事態が目まぐるしい速さで進行しているなか、この記事が米国で事業展開をしている日系企業と日本本社にとって、現地管理職が抱えている法的な課題をより理解し、運営上・雇用上のリスクを抑えるための意思決定において戦略的判断材料となれば幸いである。

ここで扱う内容は、一般的事実であり、特定の状況に対する法的アドバイスではなくそれを意図したものでもない。

企業概況ニュース・U.S. JAPAN PUBLICATION N.Y. INC.・https://ujpdb.com/
J weekly・ https://jweeklyusa.com/

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