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カリフォルニア州安全飲料水および有害物質施行法(Proposition 65)~概要と最新情報~

1986 年11 月に「安全飲料水及び有害物質施行法」(Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act of 1986、以下「Prop 65」という)として立法化されて以来、Prop 65は法改正を重ねている。以下にProp 65 の立法背景と概要、そして2018年以降の最新情報についてご説明しよう。

Prop 65 の立法背景と概要

1969 年10 月、サンフランシスコ市で開催されたユネスコ会議で初めて「Earth Day」が採択され、米国では環境問題への関心が高まっていた最中に、1985 年カリフォルニア州リバーサイド郡で有害物質の廃棄による汚染問題が米国最大の公害訴訟に発展した。これに触発されて、1986 年11 月、カリフォルニア州の住民投票(Prop 65)に問われ、賛成63%という州住民の絶大な支持により立法化された。Prop 65 は、同州が管理する有害物質リストに掲載される化学物質を廃棄して飲料水の水源を汚染することを禁止するとともに、「明確かつ合理的な警告なし」には誰もこれらの物質に晒してはならない(以下、「暴露」という)と規定する。当該リストは毎年更新され、現在は1,000種以上のがんや生殖機能異常を引き起こすとされる化学物質が含まれる。従業員が10 人未満の事業主は同法の適用を免れるが、製造者が適用を免れたとしても、その製品を扱う流通業者や小売業者の従業員が10 人以上の場合は適用を受けること、また、カリフォルニア州に拠点を持たない事業主であっても、eコマースや通信販売を通して、有害物質を含んでいる製品に暴露のリスクがあり、当該製品が同州で流通、販売される場合は適用を受けることに注意が必要である。違反者は、一日最高2,500 ドルの罰金を課される可能性があるが、公益を代表する誰でも提訴が可能なため、賠償金目当ての訴訟ラッシュが起きており、ビジネス界から非難も上がっている。

最新情報

書面通知の追加 以前は、製造業者、及びそのサプライチェーンの業者それぞれに消費者に対する暴露の警告義務があるとされていたが、現在は、警告表示を製品ラベルに直接する方法の他、自社の次のサプライチェーンの業者に書面で通知をすることでも警告義務を遵守していると認められるようになった。

契約による免責条項 小売業者を除くサプライチェーンの業者間で、Prop 65に関する免責条項や遵守責任の割当等を契約書に定めることが認められるようになった。しかし、小売業者から消費者に暴露の警告がされていない場合には、その免責条項が無効となってしまう可能性がある。

「実際の知識」の定義変更 小売業者に暴露に関する「実際の知識」がある場合は、消費者に対して、製品ラベルへの警告表示あるいは書面通知で警告を行う義務があるが、この「実際の知識」が「暴露を起こす特定の製品を識別できるに十分な、信頼できる情報源からの情報による知識」に変更された。

ショートフォーム警告文に関する行政法案 ショートフォーム警告文の使用を、食品を含む小さなラベルやパッケージに制限し、リストされている化学物質の少なくとも1つの名前を記述しなければならない。

調理済みまたは加熱加工食品に含まれる化学物質の暴露に関する行政法案 調理方法、製造工程、原材料、出荷方法、貯蔵方法などの見直しにより、化学物質の暴露の濃度を最低限まで下げることができる可能性があることから、調理または熱処理によって食品中に形成される化学物質の暴露に対する警告が義務づけられる。

考察 Prop 65は、規定と有害物質リストの変更が頻繁に行われるので、自社製品がこれらに遵守しているかを定期的に確認すること、また、リスク評価や警告表示の必要性については、専門家のアドバイスを仰ぎながら適切な判断を行うことをお勧めする。その他詳しい情報については、JETROのページ(https://www.jetro.go.jp/jetro/overseas/us_sanfrancisco/platform.html)も併せてご参照されたい。

ここで扱う内容は、一般的事実であり、特定の状況に対する法的アドバイスではなくそれを意図したものでもない。

企業概況ニュース・U.S. JAPAN PUBLICATION N.Y. INC.・https://ujpdb.com/

J weekly・ https://jweeklyusa.com/

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