2021年米国救済計画法におけるCOBRA補助金 ~概要と雇用主が実施すべき事項~
企業概況 発行日:
Jweekly 発行日:
2021年3月11日、バイデン米国大統領の署名により、最新のCOVID-19救済法案である2021年米国救済計画法(American Rescue Plan Act of 2021、以下「ARP」)が成立した。給与保護プログラムへ多くの資金を割り当て、従業員雇用保持税額控除(Employee Retention Credit)と傷病休暇や家族・医療休暇の付与に対する税額控除を拡大することに加えて、ARPは2021年4月1日から 9月30日までに一定の対象者についてCOBRAによる健康保険料を100%補填する連邦補助金を導入する。以下では概要と雇用主が実施すべき事項について説明しよう。
COBRAの概要
1985年包括予算調整法(Consolidated Omnibus Budget Reconciliation Act of 1985、以下「COBRA」)は、20人以上の従業員を雇用する雇用主が、(重大な過失を理由とする場合を除き)雇用の終了あるいは労働時間短縮となった従業員(およびその扶養家族)に対して、雇用終了後もそれまで加入していたグループ健康保険に一定期間継続加入する権利を提供することを義務付ける連邦法である。
ARPに基づく必要な通知
ARPでは、(重大な過失を理由とする場合を除き)解雇・労働時間短縮となった従業員(及びその扶養家族)に対して、COBRA(及び州の同様の制度)による健康保険料を100%補填する。
雇用主は、ARPに基づく補助金受給対象者に対し、補助金受給の権利を通知する義務がある。連邦労働省は、補助金の申請や期限に関する通知書のテンプレートを発行しており、その内容には以下が含まれる。
- COBRAの選択に関する通知 この通知は、2021年4月1日から9月30日の間に解雇・時間短縮となった補助金受給対象者に送付しなければならない。
- COBRAの特別選択に関する通知 この通知は、2021年4月1日以前に解雇・時間短縮となった補助金受給対象者で、COBRAの適用を選択しなかった、もしくは選択したがCOBRAの適用期間が終了した対象者に対し、2021年5月31日までに送付しなければならない。(2021年4月1日以前にCOBRAの最長適用期間が終了した者は除く。)
- 補助金の有効期限に関する通知 この通知は、COBRA適用による保険料補助には期限があることを知らせるため、保険料補助が終了する15日から45日前に送付しなければならない。
ARPを遵守しない雇用主には、1日あたり100ドルのペナルティを課される可能性があるので留意が必要である。
給与税額控除
ARPに基づき補助保険料を支払う雇用主は、その支払い金額について、四半期毎の給与税申告において税額控除として補填される。税額控除の金額が給与税額を超える場合には、過大納税額として還付される。雇用主は、補助金の額がその四半期の給与税額を超えると予測される場合には、給与支払い時の給与税の納税額を減額する方法で税額控除を適用することも検討できる。税額控除の方法に関しては、IRSから近日中にガイダンスが発行される予定である。
雇用主が実施すべき事項
雇用主は、ARPに基づく新しいCOBRAの要件に準拠するため、次の事項を実施する必要がある。
- 健康保険業者と連携して、補助金対象になりそうな、以前に解雇した従業員を特定し、2021年5月31日(およびその後の期限)までに必要な通知を送付する。
- 四半期毎の給与税申告における税額控除の適用について、財務や経理担当者と連携する。
解雇通知に補助金と特別選択期間に関する情報が含まれているか弁護士と確認する。特に、訴訟権利の放棄と引き換えにCOBRAの給付金を提供するとしている権利放棄書は、雇用主が補助金の払い戻しを受けると、約因が無効になる可能性があるため、再検討する必要がある。
ここで扱う内容は、一般的事実であり、特定の状況に対する法的アドバイスではなくそれを意図したものでもない。
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