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~オンラインの偽造品販売~

<背景>

ホリデーシーズン真っ只中、かつて以上にオンライン・ショッピングが増加している中、偽造品販売に対する懸念も増えている。現在、世界中の偽造品マーケットは約1兆ドル、米国経済への被害は毎年80億ドル相当にも上るとも言われている。

その反面、世界30カ国でオークションサイトを展開するeBayは、2010年の収益が $90億とされており、ブランド商品を扱う老舗からの風当たりは益々強くなっているようだ。

ブランド会社がオークションサイトを相手取り行なう訴訟は、ここ数年米国のみならずヨーロッパでも展開されている。消費者にとってオンライン・アクティビティーは、国境が不透明で取引が自由である反面、国際的な法整備が追いついていないのが現状である。

<フランス>

高級ブランド会社が多く存在するフランスでは、1994年以降、政府が偽造品撲滅のための立法に努力してきたため、違反者への責任追及も厳しい。

2008年、ヴィトンなどの有名ブランド商品を抱えるLVMH社は、フランスの商事裁判所にてeBayを相手取り同社のサイトで販売されているLVHM社の製品のほとんどが偽造品であるとし提訴した。法廷判決は、LVMH社の勝訴に終わり、同社は、異例な38.6Mユーロ($50~60M)の賠償金を得ることに成功した。

2009年、香水や化粧品ブランドのL’Oréal社が、同じくeBayを相手取りフランスの民事裁判所にて提訴し3.5Mユーロ($4~5M)の賠償金を求めたが、法廷は、eBayが偽造品をそのサイトから排除するべく適切なレベルの努力をしているとし、L’Oréal社の言い分を退けたが、両社の間のずれを解消するべく調停手続きを命じた。

<英国>

更に、L’Oréal社は、2009年、英国法廷にてeBayを相手取り提訴しeBayのサイト上で販売されている偽造品に対する同社の責任を追及した。英国法廷は、その判決でeBayが偽造品販売者と同レベルの責任を持つものではないとしL’Oréal社は敗訴したが、eBayは、偽造品を阻止するための対策を講じるべきであるとした。L’Oréal社は、この他にもドイツ、ベルギー、スペインでも同社を相手取り提訴し、ドイツでは勝訴、ベルギーでは敗訴した。

<EU>

2011年7月、欧州司法裁判所(European Court of Justice)は、インターネット上の商標権違反を取り締まるための対策は、各国の法廷の責任であるとしながらも、サイト運営者は、偽造品などの販売をプロモートするような「積極的な役割」を果たしている場合、EU法下の責任を逃れられないとした。

<米国>

2011年11月、米ネバダ州の連邦裁判所は、600を超える偽造品販売のサイトを相手取って提訴していた原告シャネルの言い分を支持し、偽造品販売を認めているこれらのサイトに対し法廷令状を発令し、サイトの停止処分が言い渡された。更にGoogle、Bing、Yahoo、Facebook、Twitterなどのサイトに対してもこれら偽造品サイトのドメイン名をサーチ機能から削除するよう指示が下された。

かねてより商標法や著作権法違反の取締り強化を行なってきた米国土安全保障省(DHS)の移民税関捜査局(ICE)は、130以上の偽造品販売関連サイトを閉鎖したが、米国外のサイトに対する強制力について疑問視されている。

<立法>

現在、米下院議院では、「Stop Online Piracy Act (SOPA)」を審議しており、これが可決されると司法省は法廷令状を取得することにより特定のサイトをブロックしたり、ISPに対し特定のリンクを絶つことを強制できることになる。ハリウッドのコンテンツ・プロバイダは、SOPAの立法を支援している反面、Googleのエリック・シュミット会長は一種のセンサーシップだとして反対している。

<考察>

これまでオークション・サイト運営者は、偽造品の取り締りはブランド会社の責任であり、サイト運営者は、単に売り手と買い手を結ぶ場を提供するのみで参加者の行為に対しては責任を持たないと主張して来たが、昨今の法廷判決によりサイト運営者の責任が追及されるようになってきた。特に最近eBayは、本物と偽造品の見分け方、苦情提出の仕方など、偽造品を排除するための様々な対策を積極的に講じているようだ。

世界中で提訴される訴訟に対応する費用より、事前防止策を講じる方が安価に済むのは明白であろう。

本記事の内容は、一般的事実を述べているだけであり、特定の状況に対する法的アドバイスではなく、それを意図したものでもない。個々の状況に対しての法的アドバイスは、直接当事務所にご連絡頂くか、専門の弁護士にご相談されることをお勧めする。

<背景>

ホリデーシーズン真っ只中、かつて以上にオンライン・ショッピングが増加している中、偽造品販売に対する懸念も増えている。現在、世界中の偽造品マーケットは約1兆ドル、米国経済への被害は毎年80億ドル相当にも上るとも言われている。

その反面、世界30カ国でオークションサイトを展開するeBayは、2010年の収益が $90億とされており、ブランド商品を扱う老舗からの風当たりは益々強くなっているようだ。

ブランド会社がオークションサイトを相手取り行なう訴訟は、ここ数年米国のみならずヨーロッパでも展開されている。消費者にとってオンライン・アクティビティーは、国境が不透明で取引が自由である反面、国際的な法整備が追いついていないのが現状である。

<フランス>

高級ブランド会社が多く存在するフランスでは、1994年以降、政府が偽造品撲滅のための立法に努力してきたため、違反者への責任追及も厳しい。

2008年、ヴィトンなどの有名ブランド商品を抱えるLVMH社は、フランスの商事裁判所にてeBayを相手取り同社のサイトで販売されているLVHM社の製品のほとんどが偽造品であるとし提訴した。法廷判決は、LVMH社の勝訴に終わり、同社は、異例な38.6Mユーロ($50~60M)の賠償金を得ることに成功した。

2009年、香水や化粧品ブランドのL’Oréal社が、同じくeBayを相手取りフランスの民事裁判所にて提訴し3.5Mユーロ($4~5M)の賠償金を求めたが、法廷は、eBayが偽造品をそのサイトから排除するべく適切なレベルの努力をしているとし、L’Oréal社の言い分を退けたが、両社の間のずれを解消するべく調停手続きを命じた。

<英国>

更に、L’Oréal社は、2009年、英国法廷にてeBayを相手取り提訴しeBayのサイト上で販売されている偽造品に対する同社の責任を追及した。英国法廷は、その判決でeBayが偽造品販売者と同レベルの責任を持つものではないとしL’Oréal社は敗訴したが、eBayは、偽造品を阻止するための対策を講じるべきであるとした。L’Oréal社は、この他にもドイツ、ベルギー、スペインでも同社を相手取り提訴し、ドイツでは勝訴、ベルギーでは敗訴した。

<EU>

2011年7月、欧州司法裁判所(European Court of Justice)は、インターネット上の商標権違反を取り締まるための対策は、各国の法廷の責任であるとしながらも、サイト運営者は、偽造品などの販売をプロモートするような「積極的な役割」を果たしている場合、EU法下の責任を逃れられないとした。

<米国>

2011年11月、米ネバダ州の連邦裁判所は、600を超える偽造品販売のサイトを相手取って提訴していた原告シャネルの言い分を支持し、偽造品販売を認めているこれらのサイトに対し法廷令状を発令し、サイトの停止処分が言い渡された。更にGoogle、Bing、Yahoo、Facebook、Twitterなどのサイトに対してもこれら偽造品サイトのドメイン名をサーチ機能から削除するよう指示が下された。

かねてより商標法や著作権法違反の取締り強化を行なってきた米国土安全保障省(DHS)の移民税関捜査局(ICE)は、130以上の偽造品販売関連サイトを閉鎖したが、米国外のサイトに対する強制力について疑問視されている。

<立法>

現在、米下院議院では、「Stop Online Piracy Act (SOPA)」を審議しており、これが可決されると司法省は法廷令状を取得することにより特定のサイトをブロックしたり、ISPに対し特定のリンクを絶つことを強制できることになる。ハリウッドのコンテンツ・プロバイダは、SOPAの立法を支援している反面、Googleのエリック・シュミット会長は一種のセンサーシップだとして反対している。

<考察>

これまでオークション・サイト運営者は、偽造品の取り締りはブランド会社の責任であり、サイト運営者は、単に売り手と買い手を結ぶ場を提供するのみで参加者の行為に対しては責任を持たないと主張して来たが、昨今の法廷判決によりサイト運営者の責任が追及されるようになってきた。特に最近eBayは、本物と偽造品の見分け方、苦情提出の仕方など、偽造品を排除するための様々な対策を積極的に講じているようだ。

世界中で提訴される訴訟に対応する費用より、事前防止策を講じる方が安価に済むのは明白であろう。

本記事の内容は、一般的事実を述べているだけであり、特定の状況に対する法的アドバイスではなく、それを意図したものでもない。個々の状況に対しての法的アドバイスは、直接当事務所にご連絡頂くか、専門の弁護士にご相談されることをお勧めする。

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