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~2013年のDOLの動向~

2013年3月18日、オバマ大統領は、労働省長官(Secretary of Labor)のHilda Solis氏が退陣した後に代理を務めていたSeth Harris氏の後任として、Thomas Perez氏を指名した。もし米議会で承認されれば、Solis氏に続き2人目のヒスパニック系労働長官の誕生となる。Perez氏は現在司法省公民権局の法務長官補佐を務めており、社会的・経済的弱者を擁護する立場を取ってきた経歴を持つ。もしPerez氏が承認されれば、2013年以降もDOLは労働者を保護するために積極的な方針を採り続けることが予想される。

<過去数年間におけるDOLの方針変化>

DOLは過去数年、それまでの「休眠省」状態から以下のような大きな転換を遂げている。

•  積極的な法令執行により、違反行為の疑いのある会社の調査頻度が増加

•  2012年に300人以上の調査官を追加採用

•  初回の違反行為でも未払い賃金の他に損害賠償金の支払を要求

•  会社による自己調査を認めず、徹底調査実施

•  故意の違反の場合、過去3年間に遡った調査(悪意の無い違反の場合過去2年間)

•  DOLによる訴訟に加え、従業員(元従業員)が個人で提訴する際の出訴期限の期間進行停止を支援

•  労働基準法・家族医療休暇法の違反行為の被害を受けていると訴える従業員又は元従業員の為の弁護士紹介

上記の方針変化の結果は、訴訟数の増加に顕著に現れている。2000年には1,800件であったFLSA(Fair Labor Standard Act、労働基準法)がらみの訴訟が2012年には7,908件まで増えた。DOLの発表によると、「調査を行なった会社のわずか30%が労働法を遵守している。」と主張している。更に、DOLは従業員区分の誤分類にも神経を尖らせており、86%の労働者が残業代の対象となるノンエグゼンプトであるにも関わらず、その多くがIC(インデペンデントコントラクター)やエグゼンプトとして誤分類されていると発表した。

<2013年以降のDOLの課題>

DOLは、2013年以降の方針として以下の課題を抱えている。

•  労働基準法違反やエグゼンプト・ノンエグゼンプトの誤分類の更なる積極的な調査

•  DOLの調査中、DOLと全てのエグゼンプト職員に対し、エグゼンプト・ノンエグゼンプト従業員区分に関する社内規定を文書化し配布することを義務化するか否かの検討(会社は、従業員が会社の規定に抗議する権利がある旨を通知する義務もあり)。

•  連邦・州政府の諸機関と合意書を結ぶことにより、DOL、IRS、州当局間での情報や雇用者の違反行為の共有継続して誤分類のICを摘発

•  違反行為を認めずDOLと和解手続をしてもDOLのプレスリリースによりすべての内容を公表

<雇用主として知っておくべきこと>

前回もお話したが、雇用主として取れる唯一かつ最良のDOL対策は、法令を遵守し、調査が入っても慌てない下準備をしておくことである。また、DOL調査に於いては次のような発言はDOLの嫌疑を招く可能性がある。

•  当社には時給制の従業員はいません。

•  残業代は支払いません。

•  (残業分を)他の週で調整しています。

•  (誤分類や残業代の違反に関し)本人の合意済です。

•  残業代は給与に組みこまれています。

過去の判例を紹介しよう。2013年2月4日付けのDOLの発表によれば、シリコンバレーに拠点を置くクリーンエネルギー電力装置製造企業のBloom Energy Corp.が、メキシコから14名の労働者を連れてきてサニーベル市の本社工場に於いて最低賃金以下で労働させていたとして、$31,922の未払い賃金と、同額の損害賠償金の支払を命じられている。またこのケースでは、違反行為が意図的なものであったとして、$6,160の懲罰的損害賠償金も追加されている。同社はグーグル社やウォルマート社、eBay社やコカコーラ社を初めとする多くの有名企業と契約を結んでいるが、違反行為が是正されるまでの期間DOLにより製品の出荷を禁止され業務に大きな支障をきたした。

これまで、DOLが調査対象として注目する業界といえば低賃金の労働集約産業が中心だと思われてきた。しかしこの例からも分かるように、ハイテク産業が軒を並べ全米一平均賃金が高いとされるシリコンバレー地域でも、決してDOLの追求を逃れえるわけではないので、雇用主としてはくれぐれも留意されたい。

本記事の内容は、一般的事実を述べているだけであり、特定の状況に対する法的アドバイスではなく、それを意図したものでもない。個々の状況に対しての法的アドバイスは、直接当事務所にご連絡頂くか、専門の弁護士にご相談されることをお勧めする。

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