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インターネットを活用したマーケティングの留意点 ~eコマース(電子商取引)広告に適用される規定(2)~

Eメールを開けて、迷惑メールに悩まされるのは日常茶飯事になったが、フィルタリング用ソフトウェアの技術革新やメール・セキュリティーの運用を提供する会社が増えて以来、その対策も選択肢が増えてきた。迷惑メールは、一般的に米国では「ジャンクメール」、「スパムメール」または単に「スパム」と呼ばれている。

ちなみに、元々スパムとは、豚肉とハムを加工した缶詰食品で、第二次世界大戦中の米軍隊の食料として多く利用されていたが、戦後世界中に販売され、ハワイでは「スパムむすび」などの副産物が生まれている。このスパムが、なぜ迷惑メールを指すようになったかは、ウィキペディアに面白い紹介がある。つまり、1970年の英国のコメディ番組、「空飛ぶモンティ・パイソン」において、スパムを嫌うイギリス人客が、スパムしか注文できない食堂で迷惑な体験するというスケッチに、語源を得ているというのである。現在では、スパムが迷惑メールを指すことが定着している。

今から14年程前の2003年5月1日、当時社会問題となりつつあった膨大な量のスパムメールを規制するために、ワシントンDCにおいて、連邦取引委員会(Federal Trade Commission、以下「FTC」)が、コンファレンスを主催し、インターネット企業や広告会社の代表者や反スパム活動家など幅広い参加者を募り、Eメールをスパムから守るための対策を協議した。インターネット企業らは、スパムを阻止するための技術的問題について語る中、広告業者は、市場経済発展をさせるためにできるだけ規制を避けるべきとの議論を展開し、反スパム活動家は、スパム規制に賛成しながらも、言論の自由を保護するべきなど、議論は縦横無尽に交わされた結果、何ら統一見解が得られなかった。

しかし、同年後半、米議会が、「Controlling the Assault of Non-Solicited Pornography and Marketing (Can-Spam )Act」(連邦スパム規制法)を立法し、12月16日付でブッシュ大統領が署名を行い、同法が施行され現在に至っている。このCan-Spam Actは、スパムに終止符を打つという意味と、缶詰にするという意味を両方もじっている。

<連邦スパム規制法(Can-Spam Act)>

連邦スパム規制法は、商業用に広告目的で発信されるメールの規定を設定し、受信者にメール停止を要求する権利を与え、違反者に罰金を科すことを規定している。なお、同法は不特定多数に配信されるスパムだけではなく、元従業員や元顧客へ対する個別のメールも対象となっているので、気をつけたい。

FTCが執行している連邦スパム規制法の要件は以下の通りである。

  1. メールの発信者名(From)、受信者名(To)、ドメイン名などは、正確に記入すること。
  2. 誤解を招く題名(Subject)を使用せず、メールの内容を正しく反映させること。
  3. メールが広告であれば、広告(Ad)として明記すること。
  4. 発信者の住所を明記すること(O. Boxでも構わない)。
  5. 受信者が、メールを停止したい場合の手続きを明記すること。
  6. 受信者が、メールの停止を要求した場合、10営業日以内に手続きを行うこと。
  7. 事業主が、メール広告を第三者へ委託しても、その法的責任は免れない。
  8. 違反者には、メール一件につき最高$40,654の罰金が科される。

なお、同法は、州法がより厳しい規制を設定することを禁止している点を見る限り、関係する団体の政治的圧力があったものと想定されよう。

<考察>

実際に自社のメール広告が、FTCの規定に違反しているか否かは、法規定に基づく判断が必要なため、専門家と相談しながら法遵守を確認されることをお進めする。

参考文献

米連邦取引委員会ウェブサイト/https://www.ftc.gov/tips-advice/business-center/guidance/can-spam-act-compliance-guide-business

ウィキペディア/https://en.wikipedia.org/wiki/Spam_(Monty_Python)

本記事の内容は、一般的事実を述べているだけであり、特定の状況に対する法的アドバイスではなく、それを意図したものでもない。個々の状況に対しての法的アドバイスは、直接当事務所にご連絡頂くか、専門の弁護士にご相談されることをお勧めする。

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