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インターネットを活用したマーケティングの留意点 ~eコマース(電子商取引)広告に適用される規定(3)~

40年前はコマ回し、20年前はたまごっちだったが、現代の子供達はスマホでゲームに夢中になっている。米国のリサーチ会社、Influence Centralによると、スマホを入手する平均年齢が年々下がっており、2012年の平均が12歳であったのが、2016年には10歳に下がっていると報告している。iPhoneやiPad、iWatchなど、コマ一つの値段の数百倍以上の出費を迫られる親としては、スマホを与える適切な年齢が何歳なのか迷うところだ。

一方、子供を対象としたアプリを提供する会社にとっても、連邦法の規定を遵守していないと、予想外の罰金を科される場合があるので注意が必要である。2014年9月17日のニューヨークタイムズ紙によると、消費者の権利を保護する連邦取引委員会(Federal Trade Commission、以下「FTC」)は、Tiny PetsやTiny Zoo、Tiny Monstersなどのゲームアプリを提供するTinyCo, Inc.が、オンライン上で13歳未満の子供達から個人情報を違法に入手したとして法的手続きを開始し、同社は、30万ドルの罰金を支払うことで和解に応じたと報道した。同様に、Yelp Inc.も似たような違反行為を行ったため、45万ドルの罰金の支払いを余技なくされた。

FTCの手続きの法的根拠は、Children’s Online Privacy Protection Act(児童オンラインプライバシー保護法)、略称COPPAだ。以下に同法の要旨を説明しよう。

保護の対象:13歳未満の子供

規制の対象:13歳未満の子供達をターゲットとしたウェブサイトの運営やオンラインサービスの提供を行う者(「運営者」)。これには、サービスが13歳未満の子供達を対象としていない場合でも、実際に子供達から個人情報を入手していることを認識している場合も含まれる。

「個人情報」の定義:オンライン上で収集する情報で、個人を確認できるものを指し、これには、氏名、住所、電話番号、Social Security Number、並びにメールアドレス、オンライン上で子供に連絡が可能になる情報(例:IM、VoIP、スクリーン・ネームやユーザー・ネームなど)が含まれる。

法の骨子:

  • ウェブサイトやオンラインサービスの運営者は、13歳未満の子供達から個人情報を収集する前に、直接保護者に対して明確な通知を行い、その許可を得なければならない。
  • 運営者は、ホームページと情報を収集するすべてのページに分かり易いリンクを張り、自社のプライバシーポリシーが明確に閲覧できるように設定し、収集する個人情報のタイプ、その収集方法や使途について明確に説明しなければならない。
  • 個人情報の収集を第三者に依頼する場合は、各業者の名称と連絡先(住所、電話、メールアドレス)を表示しなければならない。
  • 保護者に対し、必要以上の個人情報は収集しないこと、保護者は子供の個人情報をレビューできること、個人情報の収集に合意か拒否する場合はその手続き方法を伝えなければならない。
  • 更に運営者は、収集した個人情報を保護するための合理的な手続きを設定しなければならない。

連邦法の他にも州法が適用される場合があるので注意したい。特に、カリフォルニア州の住民から個人情報を収集する場合は、年齢に関係なくCalifornia Online Privacy Protection Act(CalOPPA)の規定に基づいて、明確なプライバシーポリシーを掲載し、その他の規定を遵守する必要がある。更に同法は、2013年に修正され、消費者がオンライン上の行動のトラッキングを拒否する場合(Do Not Track)、オンラインサービス運営者は、トラッキングを禁止されてはいないものの、どのようにその要請に対応するかをプライバシーポリシーで明記しなければならない。これらの規定に違反する場合は、カリフォルニア州司法長官から提訴される可能性があるので注意が必要である。

<考察>

実際に自社の手続きやプライバシーポリシーが、COPPAやCalOPPAの規定を十分満たしているか否かは、専門家と相談しながら確認されることをお進めする。

参考文献

米連邦取引委員会ウェブサイト/https://www.ftc.gov/tips-advice/business-center/guidance/childrens-online-privacy-protection-rule-six-step-compliance#step1

本記事の内容は、一般的事実を述べているだけであり、特定の状況に対する法的アドバイスではなく、それを意図したものでもない。個々の状況に対しての法的アドバイスは、直接当事務所にご連絡頂くか、専門の弁護士にご相談されることをお勧めする。

企業概況ニュース・U.S. JAPAN PUBLICATION N.Y. INC.・https://ujpdb.com/
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